グレリンとレプチン→ソマトポーズとは加齢に伴う下垂体前葉機能低下のこと、カヘキシアとは悪液質のこと(がんなど) グレリンは主として胃内分泌細胞で産生され、摂食亢進や体重増加、消化管機能調節などエネルギー代謝調節に重要な作用を持ち、今まで知られている中で唯一の末梢で産生される摂食促進ペプチドです。 胃から分泌されるグレリンの空腹と成長ホルモン分泌に関する情報は、求心性迷走神経を介して脳へ伝達されます。グレリンは、摂食や成長ホルモン分泌調節の中枢である視床下部に働き、これらの促進作用を発現します。 平成11年寒川賢治氏のグレリンの発見により、胃が消化機能だけでなく、エネルギー代謝や成長ホルモンの分泌調節にも機能していることが明らかになりました。 合成グレリンを用いる臨床研究も、わが国ですでに始まっていて、拒食症や心不全、がんの治療への応用が期待されています。将来的には老化を抑える薬になるかもしれないといわれています。 【現在開発されている薬】 RQ-00000005(カプロモレリン) 主適応症 脆弱 胃食道逆流症 グローバル開発・製造・販売 製品概要 グレリンは、臨床試験において、除脂肪体重増加、老齢者での運動機能亢進、食欲亢進、消化管運動促進等の作用がみられていることから、脆弱、GERD等、様々な適応症への適用の可能性があります。 【六君子湯はグレリンを介して食欲を高める】 最近の幾つかの研究で、六君子湯(りっくんしとう)がシスプラチンによるグレリンの胃からの分泌低下を阻止し、さらに脳内におけるグレリン受容体を増加させることによって食欲を高めることが、ラットを使った実験で示されています。 すなわち、抗がん剤のシスプラチンを腹腔内に投与して食事摂取量が低下した(食欲を低下させた)ラットに六君子湯を投与すると、摂食量が増える(=食欲が増進する)ことが示されています。 六君子湯による食欲増進の作用機序として、シスプラチンの投与によって増加したセロトニンによって胃から分泌される食欲増加ホルモンのグレリンが低下するところを六君子湯が阻止し、食欲を回復させることが報告されています。さらに別の研究では、脳内のグレリン受容体の数を増加させることによって、食欲を高めることも報告されています。 この効果の活性成分として、陳皮(チンピ)に含まれるフラボノイドの関与が示唆されています。 グレリンと反対の作用を持つレプチンは1994年Friedman博士が発見した物質で、脂肪組織で産生されます。食欲を抑制する働きがあるホルモンといわれています。主に脳の視床下部の満腹中枢に働いて『お腹いっぱい!』という感覚を起こさせると言われています。満腹中枢は食後20分~30分ぐらいしないと働かないので、ご飯はゆっくりと食べましょう。その結果、ダイエット効果が期待できます。 また、睡眠時間が減ると食欲抑制物質レプチンが減って食欲亢進物質グレリンが増えるという研究結果があります。 一つはスタンフォード大の発表で、5時間眠る人は8時間眠る人に比べて、なんと、血中の食欲刺激物質グレリンが14.9%も多く、食欲抑制物質レプチンの量は15.5%も少ないことがわかりました。 これは、ちなみに性別、食事習慣にも全く関係がないほどはっきりした差だったそうです。(対象約1000人、30~60歳) 似たようなお話になりますが、シカゴ大のチームの発表では2晩連続で4時間しか寝ないと、10時間寝た場合にくらべて、グレリンが増えてレプチンが減っていることがわかりました。 |